VUCAの時代といわれるように将来の予測が困難かつ不確実性も高まる昨今、企業の経営層は難しい経営判断やリーダーシップの発揮を求められています。持続的な成果や発展、育成などをいかに実行・実現するかに頭を悩ませる経営層は決して少なくありません。
こうしたなか、経営層のリーダーシップ能力や組織の実行力を高める「エグゼクティブコーチング」が注目されています。そこで今回は、エグゼクティブコーチングの基本情報として、定義と期待できる効果を紹介します。
エグゼクティブコーチングとは
エグゼクティブコーチングとは、企業の経営層を対象としたリーダーシップ開発や組織の実行力を高めるための手法です。組織の持続的な成長と業績目標達成に向けて、より良い影響力を発揮できるように、経営層や経営チームの意識や行動を変革することを目的とします。
取締役、執行役員、事業部長、部長といった経営に深く携わる層を主な対象としますが、次世代の経営層(後継者)を育成するために、その他の人材を対象として実施する場合もあります。
エグゼクティブコーチングに期待できる効果
エグゼクティブコーチングに期待できる効果を、下記の3つに分けて紹介します。
- リーダーとしての進化
- チームの進化
- 後継者の育成
企業を発展させるためには、優れたリーダーが優れたチームをつくることが必要不可欠です。エグゼクティブコーチングは、それを支援します。
1.リーダーとしての進化
エグゼクティブコーチングを通じて以下がもたらされることで、組織内の各リーダーは進化を遂げることが可能です。
経営層の考えを整理して言語化できる
エグゼクティブコーチングは、経営層に対して自身の考えやビジョンを整理し、それを自分の言葉で具体的に表現する手助けを行います。このプロセスにより、抽象的なアイディアが具現化され、リーダーとしてのブレない軸・信念が醸成されます。これらは、困難な試練に立ち向かっていく際に、リーダーの拠り所となります。
経営層が抱える不安を低減できる
エグゼクティブコーチングでは、抱えがちな不安や悩み事を打ち明け、勇気をもらえるパートナー(コーチ)を得ることができます。
経営層は自らの判断によって、重大な決定を下したり、組織が進むべき方向を示したりしなければならない場面が多々訪れます。そのため、孤独感やプレッシャーを感じることも少なくありません。
エグゼクティブコーチングでは、こうした心の内を信頼して共有できるコーチとの対話により、不安や悩み事を前向きかつ具体的なステップへと転換できるのです。
経営層に“気づき”を与えられる
エグゼクティブコーチングを通じて、経営層は多くの「気づき」を得ることが可能です。
具体的には、日々の業務では気づきにくい自身の問題点や思考・行動の癖を発見できる機会を得られます。一般的に経営層の多くは、他者からのフィードバックを得にくい状況にあります。そのため、改善や是正が必要な点がブラインドスポットになっていることも少なくありません。
そこでエグゼクティブコーチングにおいて、コーチが部下にインタビューした内容などを基にフィードバックするプロセスなどを通じて、重要な気づきを得ることができるのです。
また、経営層の視野が狭くなっている際には、俯瞰して視野を広げるサポートをしたり、他者の視点で考えることを促したりすることで、多面的な思考を促すことも可能です。
2.チームの進化
エグゼクティブコーチングによって進化を遂げた各リーダーは、自らのチーム(組織)の進化も促します。
組織の理念や価値観が浸透しやすくなる
エグゼクティブコーチングは、組織の理念や価値観を組織全体に浸透させ、一体感を醸成するためにも有効です。
経営層がエグゼクティブコーチングを通じて自社の理念や重視すべき価値観を明確にし、自ら率先して体現していきます。そして、メンバーと共通認識を持つための対話を行い、目指すべき方向性や価値観への共感が生まれ、協力体制が築かれやすくなります。
組織の理念や価値観が経営層のリーダーシップを通じて浸透すると、メンバーは共通の価値基盤を基に判断できるようになり、その中で個々の役割や責任を自ら考え果たせるようになります。
組織の実行力向上につながる
エグゼクティブコーチングは、経営層が目標に向かって「チームをどう動かすか」についてコーチとの対話をします。「競争の激しい環境下でどのように戦略を実行していくか」「どのようにチームの潜在能力を引き出すか」「実行場面でのボトルネックをどう解決していくのか」について考え、行動し、検証するなかで、組織の実行力向上への歩みを進められます。
また、エグゼクティブコーチングを通じて、刻一刻と変化するビジネス環境において安定した成果をあげ続けるためのリーダーシップスキルや戦略的な視点を身につけるきっかけを得ることが可能です。
3.後継者の育成
エグゼクティブコーチングは、現在の経営層だけでなく、後継者の育成にも有効です。
組織の持続的な成長を実現するためには、次期経営層の育成が欠かせません。その一例として、次世代候補者へのタフアサインメントを通じたエグゼクティブコーチングが挙げられます。
タフアサインメントとは、対象者の育成を目的として通常のアサインメント(業務の割り当て・配属)とはレベル感の違う業務を付与することです。具体的には、専門外プロジェクトへの参加、複数地域をまたぐマネジメント、高い営業目標への挑戦など、あえて現在より高レベルの取り組みを通じて一皮むける経験をしてもらいます。
エグゼクティブコーチングは、こうしたタフアサインメントを乗り越えるための精神的な支援や内省支援を行い、次世代を率いることができる人材を育成します。
参考:「タフアサインメント」を経営人材候補の成長に活かすために知っておきたいこと │ パラれる|プロフェッショナル人事を経営の味方に (corner-inc.co.jp)
まとめ
エグゼクティブコーチングとは、企業の経営層を対象としたリーダーシップ開発や組織の実行力を高めるための手法です。エグゼクティブコーチングに期待できる効果は、大きく分けて「リーダーとしての進化」「チームの進化」「後継者の育成」の3つに分類されます。
エグゼクティブコーチングを通じて、経営層は考えを整理や不安の軽減、気づきの獲得まで行うことができ、リーダーとして進化を遂げます。さらにコーチングの進め方によって、理念・価値観の浸透、組織の実行力向上、次期経営層の育成まで実現可能です。
弊社マックリンは、エグゼクティブコーチングを強みのひとつとしています。経営層や組織の状況に合わせて個別にプログラムを設計し、解決へと導きます。
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